日付 2009年06月17日 
タイトル 滑落!! 
内容 わーーーーーーっ!!
って声が聞こえたら、阿部さんが宙を舞っていた!!どうも、1回転しながら背中から落ちていったように見えた!!
みんな大騒ぎになった。松崎さんが先頭切ってすごいスピードでがけ下に下りていった。浩哉さんもハヤカッタ。
 須藤、少し考えていた。救助の方法、自分はどこから降りようか、鈍いというか、冷静というか・・・
「須藤来い!!」と言われて、我に返りがけ下に向かって下りだしたら、ツルリン!! 自分まで転んじゃった!!川石だから、コケがすごい。そういえば、行くときに松崎さんと崖を直接下りてショートカットした場所ではないか!?
いでーー!!右腕を強打したけれど、そのまま滑りながら勢いついて谷底に下りていけた。阿部さんに駆け寄ると、少し混乱しているけれど、意識はある。目も開いてる。顔は青白い。まあ、これは転落のショックだろう。
目の前に行き、話しかける。「どう?」「うーん、大丈夫かな?」足も手も動いた。まず、時計と手袋、指輪を外した。左手が少し腫れていたのだ。それから、正面で両手を取り、引きながら起こしてみた。立てた。足も大丈夫。心配なのは、左手首。右ひじ。血が出ていた。あーーー、そういえば忘れていた、自分の右手。これは血が出ているけど、問題なし。俺だから。
 まずは阿部さんを崖の上まで連れて行く事だった。自分と浩哉さんが下から足を押さえ、上から松崎さん達がストックを捕まらせて引っ張る。何とか上がれた。すかさず添え木を2本拾い、当てて包帯を巻いていった。三角巾もあちらからこちらから出てきた。みんな、よくそんなの持ってるなと、感心してしまった。それに、早い。手際がいい。このメンバーなら、何があっても安心だなと感じた。
 具合は大丈夫そうだけど、左手が心配なので、すぐに始まる鎖場急登の方法を考えた。ザイルはある。自分と松崎さんが持っていた。
とりあえず、阿部さんの体にザイルを巻き、上から松崎さんが引っ張る。須藤は阿部さんの隣で援護。滑落したら、自分が下にならなくては・・・などと、考えていた。下からは浩哉さん、毛利さん、他のみんなが押し上げた。きっと、みんな同じ気持ちだろう。体を張っていた。
何とかして鎖場を越えた。安心した。阿部さんのリュックが無いと思ったら、小林さんが既に先まで運んでいてくれた。ハヤっ!!
 左手に三角巾をしているので、私の背負子に右手を捕まらせ、ゆっくりと歩く。石やぬかるみが少しあるので、転倒しないようにと、1歩ずつゆっくり歩いた。
 何度も大丈夫・痛くない?と聞き返したけれど、「大丈夫」と元気な声が返ってくるので、安心した。
 無事、登山口へ戻り、役場の人が車に乗せてくれて、山開き本部へ連れて行ってくれた。ものすごい安心感。
一昨年の事故は大変だったんだろうな。
 バスへ行き、着替えていたら阿部さんと蒲原さんと小林さんが戻ってきた。「打撲みたいー」って、良かったね。

後日談
阿部さんは結局、左手首にひびがはいっており、全治3週間だった。ふつう、ひびがはいったら冷や汗出るくらい痛いのに、帰りのバスでは自分と浩哉さんが残りのワイン他を飲みながら馬鹿言って笑わせていたけれど、本当は痛かったんだろうな。申し訳ない。
 写真を見ていたら、阿部さんが転落し始めた写真を撮っていた。そういえば、カメラ越しに阿部さんの転落を見ていたような気がする。
 3〜4m落ちたのに、たいしたケガでなく良かった。リュックに助けられたのか、阿部さんのしなやかな体のお陰か、運がよかったのか・・・とにかく、無事で本当に良かった。
 
それにしても、みんな知識と勇気があふれた行動、心強かった。仲間って素晴らしいですね。本当の連携プレイを見た。

Fin 

   
         


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